人間関係概論その2

今回は人が誰かに好意を持つ時はどんな時かということを細分化していきます。

まず誰かに好意を持つ時は「自分に似ていると感じた時」「自分にない性質を持っていると感じた時」の二つがあります。

一見矛盾するこの二つの要素ですが心理学的には初対面や会って間もない時には「自分に似ている人」に好意を持ち、付き合いが長くなり相手のことをよくわかってきたときには「自分にない性質を持っている」人に好意を持つ傾向にあります。

つまり会って間もない時は自分に似ている容姿、言動、声色、持ち物などの人に好意を持ちますが、長く一緒にいると自分に似ている人は飽きてくるのに対して、自分と違う性質を持っている人に対して興味関心がわき、かえって好きになるということです。

また他人に好意を持つ要素として単純接触の理論というものがあります。

これは文字通り単純に会う機会が多い人に対して好意を持つというものです。

つまり魔術ということを考えなくても、まずは何度も相手と会う機会を増やし、相手と似ていることをアピールし、仲良くなってきたら相手になかった性質や考え方をアピールするという工程を踏めば好意を持ってもらえることになります。

この二つの理論が正しいことに関しては多くの人が異論を唱えないと思いますが、問題は「一瞬で相手を魅了する」という課題に対してこの理論は成立しないように思えるということでしょう。

これに関しては伝達情報の密度を上げるということと時間密度を上げるということで解決をしていきます。

日常生活をしていると人と人とは言語でコミュニケーションをとっていると思いがちですが、実際には視覚、聴覚、嗅覚をはじめとする五感情報、ボディランゲージ、雰囲気などの第六感(本講座で言う魔力)、身に付けているものなどに現れる個性など様々な情報をやり取りしています。

このすべての情報を相手に好意を持ってもらう方向に統制し、短時間で伝達するようにするのが魔術の本質です。

例えば見た目は好みだけど、ファッションが嫌い。趣味は合うけど体臭が苦手。とても考え方は共感できないけど声は好き。悪い人ではないとは思うけど何となく生理的に受け付けないということが実際の人間関係にはあると思います。

これを可能な限り統制して相手に合わせていくということです。

見た目も好みだし、ファッションも素敵、趣味も同じだし、近くにいるだけで良い香りがする、考え方も尊敬できるし、声も聴いているだけで落ち着く、とても優しくて良い人だし、こちらに好意を持ってくれているようだ。ということになれば一瞬でその人を好きになるのも道理というものでしょう。

相手の好みを分析し、こちらの状態を統制し、通常のコミュニケーションでは考えられないほどの情報量を一気に伝達するために相当量の魔力を使うため、慣れないうちはおそらく1分相対しただけでもへとへとになるぐらい消耗すると思われます。

そのため、物理的に何度も会える可能性がある相手(同級生や職場の同僚、ご近所さんなど)であれば、魔術を使うまでもなく時間をかけて徐々に仲良くなるほうがはるかに楽かもしれません。

一瞬で相手を魅了する魔術は一生においてその瞬間しか会えないかもしれない人に対して使うべき魔術と言えるかもしれません。


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